盲導犬の訓練士になるにはどうしたらなれるのか?かなり特殊な仕事だと思うのですが資格などを取れる学校などはあるのか、又は費用はどのくらいかかるのかなどが気になったので訓練士になるための資格についてご紹介します。
盲導犬の訓練士になるには?
盲導犬の訓練士になるには、2通りのルートがあります。
- 盲導犬協会に就職して実務経験約3年と筆記試験を受けて「盲導犬訓練士」の資格取得をする
- 盲導犬協会の訓練士学校に入校して「盲導犬訓練士」の資格取得をする
盲導犬訓練士とは、国家資格ではなく、それぞれ独立した協会が審査基準を定めています。
国家公安委員会から指定を受けた盲導犬育成団体が全国に11団体14施設あり、ここで就職し研修生として働きながら技術を習得したのち盲導犬訓練士として必要な知識や資質を持つと認定された場合、「盲導犬訓練士」になることが出来ます。
また、財団法人日本盲導犬協会には、日本盲導犬協会付設盲導犬訓練士学校があり、盲導犬訓練士として必要な技術や知識を学ぶことができます。
まず、盲導犬訓練士の資格を取得するには、盲導犬協会に就職する必要があります。
しかし、盲導犬協会は毎年求人を募集しているわけではなく、欠員が出た時のみ募集を行うので簡単には就職することができないのが現状です。
同じく、訓練士学校も毎年募集してないうえに、入学の倍率も20倍とかなりの狭き門となります。
そのために、求人倍率の高い盲導犬協会の就職枠を勝ち取るために、専門学校や大学で知識や技術を学んで挑むのも選択肢のひとつになりますね。
また、訓練士に向いている資質の持ち主とは
・犬が好きで、福祉にも関心がある
・結果がでるまで根気よくやり抜く方だ
・世話好きである
・体力には自信がある
といったことが求められます。
盲導犬訓練士になりたいと思ったとしても、多くの能力を求められるので、かなりの覚悟で挑む必要がありますね。
盲導犬の訓練士になるための資格とは?
盲導犬訓練士になるためには訓練士の知識や訓練、指導技術を習得する必要があります。
- 犬の訓練技術および犬に関する知識
- 視覚障害及び法律に関する知識
- 視覚障がい者の歩行に関する技術及び知識
- 盲導犬の歩行指導に関する技術及び知識
これらの知識を習得し、盲導犬訓練士になることが出来ます。
盲導犬訓練士になると、さらに勉強と経験を重ねて「盲導犬歩行指導員」へと進みます。
盲導犬訓練士が主に犬の訓練を中心に行うのに対して、歩行指導員は目の不自由な方に、盲導犬との歩き方を指導するのが主な仕事になります。
ですから、歩行指導員になるためには、目の病気のことや障がい者の心理学など、目の不自由な方に言葉だけで伝えるための勉強をする必要があるんですね。
訓練士を目指すには、目の不自由な方の事を勉強せずに盲導犬を訓練するのは不可能と言えます。
盲導犬訓練士とは、盲導犬歩行指導員の習得のための通過点ともいえるでしょうね。
ちなみに、盲導犬訓練士は3年間、歩行指導員はその後さらに2年間の養成期間が設けられているんです。
運よく、募集があり高校卒業して就職できたとしても訓練士に3年間、歩行指導員に2年間の養成期間で最短でも5年はかけないと盲導犬の訓練士にはなれないのですね。
盲導犬になるのも盲導犬を訓練する人も限られた貴重な存在といえますね。
盲導犬の訓練士の資格にかかる費用はどのくらい?
盲導犬訓練士の資格は協会に就職して実務経験を積んだのちに試験に受かり訓練士になる場合は費用はかかりません。
しかし就職倍率が高いだけでなく、試験も難しく求人募集が毎年あるとは限らないです。
ですので、盲導犬訓練士になるための資格取得の選択肢には他に何があるのか、その場合の費用はいくらかかるのかをご説明します。
大学で訓練士に必要な知識を得る
大学により学費は違ってきますが、1年間で140万円~180万円ほどで、卒業までにかかる学費は、多くて約720万円にとなります。
大学だと専門学校より通う年数が長くなるため、学費は高くなりますね。
日本の大学には盲導犬訓練士の資格取得ができる学部や学科はありません。
大学で盲導犬訓練士になるための勉強をするためには、動物系学科や社会福祉学、言語聴覚学、視覚障がい学などがある大学を選択すると、訓練士になるための知識を得ることが出来ます。
盲導犬訓練士は盲導犬だけでなく視覚障がい者とも接する機会が多くなるので、視覚障がいや福祉に関する資格があれば就職時には有利になりますよね。
大学で、福祉系の資格などをあらかじめ取得しておけば、訓練士の試験に集中出来るので学費がかかることに問題がなければ、お勧めですね。
専門学校でドッグトレーニングの知識を得る
専門学校では2年制の場合、1年間の学費は100万円~150万円ほどで、実習費やイベント費も含めると学費は多くておよそ300万円になります。
専門学校でも盲導犬訓練士の資格取得が出来るところはありません。
ですが、専門学校ではドッグトレーナーを専攻することが出来るので訓練士の資格取得に有利になりますよね。
そして専門学校では、警察犬や家庭犬の訓練の基礎を学ぶこともできることが多く、犬の訓練の基礎を学べるので専門学校へ進むのもおすすめです。
また、専門学校では盲導犬協会に実習に行くこともあり、実習先の訓練士の先輩方の貴重な生の声を聞く機会も設けられてるので心強いですよね。
盲導犬訓練士学校に入学する
日本盲導犬協会に併設された盲導犬訓練士学校では、学校といっても入学金は必要なく、学費は毎月の授業料の3万円を支払います。
さらに、本科の学生には月8万円の奨学金の給付制度があります。
入学できるのは高卒~30歳までの人で、しかも盲導犬訓練士学校は毎年入学者を募集しません。
入学募集されていても10人程度のため、入学できる倍率は高くなります。
入学後は2年間本科で学び、筆記試験と実技審査に合格すると専科に進学し、専科では通常1年間の勉強しますが、卒業するには試験に合格することが必須となります。
卒業後は、併設されている日本盲導犬協会の求人募集に応募できますが、卒業した年に求人募集をしているとは限らないので注意しましょう。
盲導犬訓練士学校では、盲導犬の訓練技術や視覚障がい者福祉論など、幅広く訓練士の勉強が協会に就職する前からできるのでおすすめですね。
しかし、毎年入学募集がしていないことや合格倍率が高いことを考慮しておくことが必要といえます。
盲導犬の訓練士はどんなことをするの?
目の不自由な方の目や足となって外出を介助する犬を盲導犬として訓練し、養成するのが訓練士の仕事になります。
また、盲導犬の世話の仕方や歩き方を目の不自由な方に指導する人を、盲導犬歩行指導員といいます。
訓練士は盲導犬の訓練だけではなく、最終的に目の不自由な方と盲導犬の歩行指導を行ってゆく盲導犬歩行指導員を目指していきます。
盲導犬歩行指導員は目の不自由な方に、盲導犬との歩行の指導をするだけでなく、ユーザーの方が盲導犬と新しい生活を始めるための指導や準備をする人生の重要な局面に立ち会うことになるんですね。
そして、盲導犬とユーザーの、その後の生活を見守ることも指導員としての責任となるのです。
盲導犬訓練士の仕事の内容の一例として、
- 盲導犬のお世話、餌やりやトイレ、ブラッシングなどをする。
- 目の不自由な方が盲導犬と歩けるようになるための歩行指導をする。
- 盲導犬になる子犬とパピーウォーカーの関わり方の指導をする。
- 盲導犬を広めるための街頭募金や広報活動
- キャリアチェンジ犬やリタイヤ犬の里親探しをボランティアへ依頼する。
こうしてみても、犬の訓練だけではなく、ユーザーの方への指導やパピーウォーカーなどのボランティアの方との関わりもあり重要な役割を担っているんですね。
1人の訓練士が担当する盲導犬は1回につき3~4頭となり、それぞれの犬の性格や訓練過程が異なるため、盲導犬1頭1頭に合わせた訓練を行います。
1人で3~4頭の盲導犬を担当するのは、頭数が多く1人では難しいように感じますよね。
盲導犬訓練士の仕事は、犬が好きだからとか、障がいのある方のために役に立ちたいというボランティア精神だけで出来ることではないようですね。
まとめ
盲導犬訓練士になるためには、盲導犬協会の盲導犬訓練士の資格を取得しなければならないことが分かりましたね。
盲導犬訓練士の就職募集は倍率が高く、訓練士学校の入学の倍率も高く狭き門となります。
盲導犬訓練士は、犬の訓練を行うだけではなく、目の不自由な方の生活のサポートをするのが訓練士の大きな役割りです。
ユーザーの方が盲導犬と歩けるようになって、人との出会いがあったり、人生がより豊かになるお手伝いができるので、決して楽な仕事ではないですがやりがいを感じる素晴らしい仕事ですよね。