『ゴールデンカムイ』には、実在の人物をモデルにしたキャラクターが数多く登場します。
明治時代の北海道を舞台に、軍人、脱獄王、猟師、革命家など、さまざまな歴史上の人物がキャラクターの背景に影響を与えています。
本記事では、主要キャラのモデルとなった実在の人物を紹介し、その歴史的背景にも迫ります。
この記事を読むとわかること
- 『ゴールデンカムイ』登場キャラのモデルとなった実在の人物
- 各キャラクターと実在の人物の共通点や背景
- 歴史的エピソードが物語に与えた影響
杉元佐一のモデルは実在した屯田兵!
『ゴールデンカムイ』の主人公である杉元佐一は、日露戦争を戦い抜いた兵士として描かれています。
彼は「不〇身の杉元」と呼ばれ、驚異的な戦闘能力と精神力を持つキャラクターですが、そのモデルとなった人物も実在しました。
杉元のモデルは野田サトル先生の曾祖父とされており、彼は第七師団に所属する屯田兵でした。
モデル:野田サトル先生の曾祖父・杉元佐一
野田先生の曾祖父は北海道の屯田兵であり、日露戦争に従軍した経験を持つ人物でした。
屯田兵とは、明治政府が北海道開拓と防衛のために組織した兵士であり、戦争が起こると前線に派遣されました。
杉元佐一が作中で第七師団の兵士として登場するのは、この実際の背景を元にしていると考えられます。
日露戦争を戦った第七師団の兵士
杉元が所属していた第七師団は、日露戦争において最前線で戦った部隊の一つです。
特に、1904年から1905年にかけての203高地の戦いでは壮絶な戦闘が繰り広げられ、多くの兵士が犠牲になりました。
『ゴールデンカムイ』の杉元もこの戦いで大きな傷を負いながら生き延び、「不死身の杉元」として名を馳せることになります。
こうした背景を知ることで、杉元佐一というキャラクターの魅力がより深まります。
白石由竹のモデルは「昭和の脱獄王」!
『ゴールデンカムイ』に登場する白石由竹(しらいし よしたけ)は、狡猾な脱獄犯でありながら、ユーモアあふれるキャラクターです。
彼の抜け目のない性格や、驚異的な脱獄技術は、実在した脱獄王白鳥由栄(しらとり よしえ)をモデルにしているとされています。
白鳥は戦前・戦後にかけて4回もの脱獄を成功させた伝説的な人物であり、そのエピソードはまるで漫画のような出来事ばかりです。
モデル:白鳥由栄(しらとり よしえ)
白鳥由栄は、明治生まれの日本人で、窃盗や詐欺を繰り返しながら刑務所生活を送っていました。
彼は「脱獄王」として知られ、全国の刑務所を震撼させた存在でした。
『ゴールデンカムイ』の白石も同様に、あらゆる監獄を脱獄しており、そのコミカルな雰囲気と裏腹に驚異的な知恵を持つキャラとして描かれています。
脱獄を繰り返した伝説の男
白鳥由栄は、戦前から戦後にかけて合計4回の脱獄を成功させています。
特に有名なのは、手錠をかけられたまま手首を外せるように細くしたという逸話です。
『ゴールデンカムイ』の白石も、壁をよじ登ったり、小さな穴を通り抜けるなどの特技を持ち、まさに「昭和の脱獄王」の面影を色濃く反映しています。
このように、白石由竹のユーモラスなキャラクターの裏には、実在の脱獄王・白鳥由栄の驚異的な脱獄術が隠されているのです。
尾形百之助のモデルは伝説のスナイパー!
『ゴールデンカムイ』に登場する尾形百之助(おがた ひゃくのすけ)は、第七師団に所属する冷酷なスナイパーです。
彼は狙撃の名手であり、感情を抑えた冷徹な性格で、作中でも屈指の強敵として描かれています。
そんな尾形のモデルとされるのが、アメリカ海兵隊の伝説的な狙撃手カルロス・ハスコックです。
モデル:カルロス・ハスコック
カルロス・ハスコックは、ベトナム戦争中に活躍したアメリカ海兵隊の狙撃手で、数多くの伝説を持つ人物です。
彼は「白い羽根」と呼ばれ、敵軍から恐れられました。
『ゴールデンカムイ』の尾形が冷静沈着で圧倒的な狙撃技術を誇るのは、このハスコックの影響を受けていると考えられます。
米軍最強の狙撃手との共通点
カルロス・ハスコックは、狙撃技術の高さだけでなく、相手に気配を悟られずに忍び寄る技術にも長けていました。
彼は匍匐前進で数日かけて敵に近づき、暗〇を成功させるという驚異的な忍耐力を持っていました。
尾形もまた、作中で気配を消しながらターゲットを狙い撃つシーンが多く、ハスコックの戦術と共通する点が多く見られます。
こうした背景を知ると、尾形百之助のキャラクターがさらに魅力的に感じられます。
鶴見篤四郎のモデルは実在の軍人!
『ゴールデンカムイ』の鶴見篤四郎(つるみ とくしろう)は、第七師団の指揮官として登場します。
知略に優れ、冷酷でありながら部下からの信頼も厚いカリスマ的な存在です。
そんな鶴見のモデルとされるのが、明治から昭和にかけて活躍した軍人長谷川篤四郎(はせがわ あつしろう)です。
モデル:長谷川篤四郎
長谷川篤四郎は、日本陸軍の将校であり、日露戦争に従軍した人物です。
彼は第七師団に所属し、北海道の開拓と軍事戦略の両面で活躍しました。
また、政治的な策略を巡らせることにも長けており、そうした点が鶴見中尉のキャラクターに色濃く反映されていると考えられます。
策略家として知られる人物
長谷川篤四郎は、軍内部での駆け引きにも長けており、戦後も重要なポストに就いていました。
『ゴールデンカムイ』の鶴見も、情報操作や謀略を駆使して自らの目的を果たそうとする姿が描かれています。
さらに、彼は部下を巧みに操りつつも、その信頼を得ることにも長けており、そうしたカリスマ性もまた、鶴見篤四郎のキャラクターに反映されています。
このように、鶴見のモデルを知ることで、彼の魅力や行動の裏にある意図がより理解しやすくなります。
土方歳三と永倉新八は新選組の実在人物!
『ゴールデンカムイ』には、幕末の動乱を生きた新選組の剣士たちも登場します。
特に、土方歳三と永倉新八は、実在した人物をそのままキャラクター化した存在です。
彼らは新選組の生き残りとして、北海道で新たな戦いを繰り広げます。
新選組副長・土方歳三
土方歳三(ひじかた としぞう)は、幕末に新選組副長として活躍した剣士であり、冷静な判断力と戦術眼を持つ人物でした。
明治維新後、新政府軍との戦いに敗れ、北海道の箱館戦争で最後を迎えました。
『ゴールデンカムイ』では、もし土方が生き延びていたら…という「if」の設定のもと、再び戦う姿が描かれています。
最後まで戦い続けた剣士・永倉新八
永倉新八(ながくら しんぱち)は、新選組の二番隊組長であり、剣術の達人でした。
彼は土方と異なり、箱館戦争を生き延び、その後は北海道で暮らしながら新選組の歴史を後世に伝えました。
作中では、老齢ながらも衰えぬ剣技を披露し、新選組最後の生き残りとしての誇りを示します。
歴史上の土方歳三と永倉新八を知ることで、彼らのキャラクターに込められた背景や魅力がより深く理解できます。
二瓶鉄造のモデルはヒグマ討伐の猟師!
『ゴールデンカムイ』に登場する二瓶鉄造(にへい てつぞう)は、熊狩りの達人であり、豪快な猟師として描かれています。
彼は作中で「熊を食うことで熊に近づく」という独自の狩猟哲学を持ち、アイヌの文化とも関わりながら生きる姿が印象的です。
そんな二瓶のモデルとなったのが、三毛別羆事件の際にヒグマを討伐した山本兵吉(やまもと へいきち)という実在の猟師です。
モデル:山本兵吉
山本兵吉は、大正時代に北海道で発生した三毛別羆事件(さんけべつひぐまじけん)において、巨大なヒグマを討伐した猟師です。
この事件は、日本史上最悪の獣害事件として知られ、7人の村人が犠牲になりました。
当時の北海道では銃を持った猟師たちが討伐に向かいましたが、最終的にこの凶暴なヒグマを仕留めたのが山本兵吉でした。
三毛別羆事件の英雄
三毛別羆事件のヒグマは体長約2.7メートル、体重約340キロにも及ぶ巨大な個体でした。
村人を襲い続けたこのヒグマに対し、山本兵吉は強力な銃を用いて討伐を成功させました。
『ゴールデンカムイ』の二瓶も、巨大な熊と対峙するシーンが多く、山本兵吉の勇敢な戦いを彷彿とさせるキャラクターとなっています。
彼の「熊を狩ること」にかける情熱や哲学は、まさに山本兵吉の精神を色濃く反映していると言えるでしょう。
家永カノのモデルは実在の〇人鬼?
『ゴールデンカムイ』に登場する家永カノ(いえなが かの)は、美容と若さに執着する医師であり、人体解剖に異常な興味を持つキャラクターです。
彼は「美しくあるためなら人も厭わない」という狂気を秘めており、作品内でも異彩を放つ存在となっています。
この家永のモデルとされるのが、19世紀アメリカの連続〇人犯 H.H.ホームズです。
モデル:H.H.ホームズ
H.H.ホームズ(ハーマン・ウェブスター・マジェット)は、19世紀後半にアメリカで活動した〇人鬼であり、「史上初の連続〇人犯」とも言われています。
彼はシカゴで「〇人ホテル」を建設し、宿泊客を拷問や解剖の対象として次々に〇害しました。
ホテル内には秘密の通路や隠し部屋が多数設けられ、死体を処理するための焼却炉や酸のプールまで備えられていたと言われています。
人体実験と〇人を繰り返した狂気の医師
H.H.ホームズは、医学の知識を持ち、その技術を犯罪に悪用しました。
死体を売買したり、人体を解剖したりすることで得た利益を元に、さらに猟奇的な犯罪を重ねていったのです。
『ゴールデンカムイ』の家永カノも、美しさを追求するために人体解剖を行うという点で、ホームズの思想と共通しています。
家永の不気味な魅力や残酷な行動の背景には、実在の〇人鬼H.H.ホームズの影響が色濃く反映されているのです。
まとめ:『ゴールデンカムイ』は歴史の魅力が詰まった作品!
『ゴールデンカムイ』は、単なるフィクションではなく、実在の人物や歴史的事件を巧みに取り入れた作品です。
日露戦争、北海道開拓、新選組の生き残り、ヒグマ事件、連続〇人鬼など、幅広い題材がキャラクターの背景に影響を与えています。
そのため、物語を楽しむだけでなく、歴史や文化を学ぶことができるのも本作の魅力の一つです。
実在の人物が物語に深みを与えている
本記事で紹介したように、『ゴールデンカムイ』には、数多くの実在の人物をモデルにしたキャラクターが登場します。
例えば、杉元佐一は実際の屯田兵、白石由竹は脱獄王、尾形百之助は伝説のスナイパーといったように、モデルを知ることで彼らのキャラクター性がより鮮明になります。
作品を読む際に、モデルとなった実在の人物を調べることで、新たな視点で楽しむことができるでしょう。
歴史を知ると作品がさらに楽しめる
『ゴールデンカムイ』は、フィクションとしての面白さだけでなく、歴史的背景がしっかりと作り込まれている点でも評価が高い作品です。
アイヌ文化や北海道開拓、日露戦争、新選組の最後など、実際の歴史を知ることで、キャラクターの行動や思想がより理解しやすくなります。
ぜひ本作を通じて、歴史の魅力にも触れてみてください!
この記事のまとめ
- 『ゴールデンカムイ』のキャラには実在のモデルがいる
- 杉元佐一のモデルは作者の曾祖父で屯田兵
- 白石由竹のモデルは「昭和の脱獄王」白鳥由栄
- 尾形百之助は伝説の狙撃手カルロス・ハスコック
- 土方歳三や永倉新八は新選組の実在人物
- 家永カノのモデルはアメリカの〇人鬼H.H.ホームズ
- 歴史を知ることで作品がより深く楽しめる
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